自己破産Q&A


Q 失業して収入がなく、借金の返済を続けていくことができません。どうすればよいですか?

返済を続けていける見込みがなければ、自己破産の手続(破産手続開始及び免責許可の申し立て)を取ることが考えられます。


Q 自己破産とは何のことですか?

 「自己破産」とは、借金の返済が不能になった場合に、あなたの財産を必要な範囲で金銭にかえて、全貸主に公平に分配する代わりに、残りの借金をすべて帳消しに出来る手続きのことです。


Q 自己破産のデメリットはありますか?

「自己破産」手続きは、原則として住宅(持ち家)を手放さなければなりません。
「自己破産」の手続の期間中は、特定の資格を必要とする職業に就くことが制限されます。

「自己破産」をすると信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に 「自己破産」をした事実が登録されてしまいます。5~7年程度は新たな借金やローンを利用することが制限されます。
免責確定後の7年間は原則として再び「自己破産」は出来ません。


Q 自己破産をすると戸籍に記載されたりしますか?

戸籍や住民票に「自己破産」をした事実が記載されることはありません。

選挙権がなくなることもありません。
「自己破産」手続が終了した後には就職が制限されることはありません。


Q 自己破産の手続きを申立した後の流れを教えてください。

裁判所が破産の手続開始の決定をすると同時に破産手続きが終了する場合(同時廃止)と、開始決定後に破産手続きが終了する場合(異時廃止)があります。

 

破産手続きが終了した後、裁判所は、借金などの返済義務(債務)を免除するかどうかについて決定します(免責許可の決定)。


Q 同時廃止について教えてください。

同時廃止とは、破産者に財産(破産財団)がなく、かつ、免責不許可事由のないことが明白と判断された場合に、破産手続開始の決定と同時に破産手続は終了することをいいます。

同人廃止の場合には、裁判所による破産管財人の選任がされません。


Q 異時廃止について教えてください。

異時廃止とは、破産手続開始の決定と同時に破産手続は終了させない手続きのことをいいます。

破産財団に属する財産の価額が手続費用の額を超えると見込まれる場合や、免責不許可事由の存在が疑われる場合などには、裁判所は、破産手続を終了させずに、裁量で、破産管財人を選任します(管財事件)。

管財事件は、破産管財人が破産財団に属する財産を換価、配当した後、債権者集会への報告を経た後に、裁判所が破産手続終結の決定をすることによって終了します。


Q 管財事件とは、どのような事件のことでしょうか?

管財事件とは、裁判所が、破産手続を終了させずに裁量で破産管財人を選任する事件のこといいます。

管財事件では、預貯金、土地や建物、新車などの財産は、原則として債権者への配当に備えて破産管財人の管理下におかれます。

 


Q 自己破産をした後も、借入先へ返済する必要があるのでしょうか?

免責されれば、返済する必要はなくなります。

ただし、非免責債権は、免責されずに返済をしなければなりません。


Q 免責とは何のことですか?

簡単に言うと、「自己破産」をして借金が一部の例外を除いてチャラに出来る(つまり、返済不要になる)ことです。

免責の許可、不許可については、あなたが借金をするに至ったきっかけや、家計の収支、財産の状況など様々な事情を考慮して、裁判官が最終的な判断をします。


Q 免責が認められないことがあるのでしょうか?

下記はその免責が「認められない」理由の一例になります。ただ、例えばギャンブルで自己破産しないといけない場合でも、裁判所の考えによっては、免責を認められたケースもあります。諦めずにご相談下さい。【免責が認められない理由】

・債権者を害する目的で、財産を隠したり、損壊したりして、その価値を不当に減少させる行為をした場合

・浪費やギャンブルによって、過大な借金をした場合

・破産決定の一年以内の間に、破産の原因となる事実があることを知っていながら、相手を騙してクレジットカードなどの信用取引で財産を得た場合

・帳簿や財産に関する書類を隠したり、偽造・変造したような場合

・裁判所に対し、破産に至った経緯などに関する説明を拒否したり、またはウソの説明をした場合


Q 非免責債権とは、何のことでしょうか?

非免責債権とは、裁判所によって免責決定が認められたしても、例外的に免責が認められない債権のことを言います。

破産法253条1項に規定されている非免責債権は、以下のとおりです。

 

⑴租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)

⑵破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

⑶破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

⑷次に掲げる義務に係る請求権

イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務

ロ 民法第760条の規定による婚姻から生じる費用の分担の義務

ハ 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務

ニ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務

ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

⑸雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権

⑹破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)

⑺罰金等の請求権